スター ”SR-500” 形キットによる実証的解説

ラジオ技術1964年10月号P.186〜P193に掲載された田山 彰氏の解説記事です。1950年代に氏は次の様に語っておられました。
「戦前からの受信機屋なので本当にスバラシイ受信機を製作したいのが最大の念願」と。
そして最高クラスの「スターSR-600」の開発に携わり 次に大変に欲張った受信機キット「SR-500」を発表出来た と記述してあります。
次の様な記述があり 特筆に値すると思います。

従来から言われていた受信機の良否判定の目安としていわゆる3SがありSensitivity/Selectivity/Stabilityの頭文字をとったものです。
田山さんはこの内 選択度のS安定度のSについて重点的に実験と試作を繰り返したと記述しておられます。
選択度とイメージ比を高く得るために1650Kcのクリスタルフィルターを採用し、ダブルスーパーではなく高一中二構造とした と。
その為 水晶片の構造回路を工夫し実現した と。

安定度向上については発振回路はもとより真空管内部の構造にも注意し結局6BE6とか6C4とかではなく12AU7を使ったプレート同調回路とカソードフォロワーとし ミクサーへの注入はカソード入力方式とした とも記述してあります。

最後に これは一般的にはあまり考慮されてはいませんでしたがBFOの安定度にも注意を払ったと言っておられます。

これらの事項は真空管式の短波受信機を製作する上で実践するべき事でしょう。
現在では高い周波数のクリスタルフィルターが実用的な価格で入手可能ですし一部のメーカーが採用している局発にプリミクシング方式を合わせて製作すれば田山さんが考えておられた高性能の短波受信機が実現するのが容易になるでしょう。

回路図はここにあります。